専門治療

がん治療について

概要

 平成19年にがん対策基本法が制定され、日本のがん医療は大きな変革の時期を迎えました。各医療圏にはがん診療連携拠点病院が設置され、がん医療の均てん化(全国のどこでも標準的ながんの専門医療を受けられるよう医療技術等の格差の是正を図ること)が推進されました。
 当院では2012年に埼玉県がん診療指定病院の認定を受けてから現在に至るまで、がん治療の発展と地域のがん診療の充実のため様々な取り組みを行ってまいりました。

① がんの集学的治療を行っています。

 がんの治療法としては、主に、手術治療、放射線治療、化学療法などがありますが、これらを単独で行うのではなく、がんの種類や進行度に応じて、さまざまな治療法を組み合わせ効果の高い治療を行うことを集学的治療といいます。

 当院では、がんの治療方針の決定は、各診療科の専門的な意見をもとに治療法を検討(キャンサーボード)し、個々の患者さんに合わせた方法を組み合わせて治療方針を決定しています。

 治療設備では、手術室6室を完備しており、お腹を開ける手術(回復手術)から、お腹を切らない手術(腹腔鏡手術)、カテーテルを使った治療など幅広い手術にも対応しております。2021年4月より手術支援ロボットダビンチを用いたロボット支援手術も開始いたしました。

 放射線治療とは、エックス線または電子線を体の外側から照射し、がん等の病気の治療を治療する治療のことです。当院では従来機より高出力で、治療時間が短縮でき、患者さんへの負担が低減できる最新の放射線治療システムを導入し、専門スタッフによる治療が行われております。

② がん治療センターのご案内

 がん専門のセンターです。1階サブエントランス右側にございます。静かな環境でソファでゆったりと過ごすことができます。

○外来化学療法室

 1階がん治療センター内には、化学療法専門の化学療法室19床を備えており、化学療法の専門医と看護師や薬剤師などの専門スタッフにより安全に治療が行える環境を整えております。

○がん専門外来

 放射線治療・化学療法・緩和ケア外来などがんに関連した専門外来を設置しています。

○がん相談支援センター

 がん専門の相談窓口が設置されております。当院におかかりでない患者さんでもご相談をお受けいたします。電話相談は予約不要ですので、お気軽

がんサロン

 治療を受ける患者さんがゆったりと体を休めることができる環境です。また、治療中に読んでいただける図書やがんに対する情報コーナーとして冊子やさまざまな案内なども掲示しております。一度お気楽にお越しください。

③ 緩和ケア病棟のご案内

 緩和ケア病棟とは、がんによる痛みやさまざまな症状、気持ちの辛さなどの苦痛を和らげることを目的とした専門病棟で22床を有しております。
 当院緩和ケア病棟では、入棟する患者さんがくつろげる空間を目指し設計されました。お部屋からベッドのまま外に出ることができるテラス、ディルームは屋上庭園と見沼たんぼに面し自然を感じることができる空間です。また、畳の家族室、ゆっくり気持ちを落ち着ける空間として瞑想室なども完備しました。
また、一般病棟に入院する患者さん、外来に通院する患者さんに対しましては、これまで同様、緩和ケアチームがサポートさせていただきます。

◎緩和ケア外来

◎緩和ケア病棟

④ キャンサーボードについて

 当院では、がんの種類によって各診療科が責任を持って治療にあたっております。しかし、がんの治療は常に発展しており、がんの種類や進行状況に応じて、様々な治療法の中から患者さんに一番適した治療法を選択するためには、1診療科だけの知識や経験のみでは常に最良の医療を提供することができない場合もあります。そのため、治療方針を決定する際には様々な医師の知恵を集約し、最善の治療方針を決定しています。
 また、がん患者さんはお身体の状態によっては痛みやその他の症状を抱えていたり、精神的なつらさ、社会的なつらさ、時には目標をもって治療に向かい続けることの辛さも抱ております。そのような状況の患者さんに対し、さまざまな職種がそれぞれの立場から、患者さんに最適な治療・ケアを検討するためにキャンサーボードを実施しております。

 当院では以前より全患者さんに対し多職種カンファレンスを実施しておりまして、こちらは継続しておりますが、がん疾患だけを検討するキャンサーボードとして別に実施しております。

◎現在活動しているキャンサーボード

  • 消化器キャンサーボード
  • 泌尿器科キャンサーボード
  • 血液内科キャンサーボード
  • 乳腺外科キャンサーボード
  • 呼吸器科キャンサーボード

※キャンサーボードとは(厚生労働省:がん診療連携拠点病院の整備に関する指針より)

 手術、放射線診断、放射線治療、化学療法、病理診断及び緩和ケアに携わる専門的な知識及び技能を有する医師、その他の専門を異にする医師等によるがん患者の症状、状態及び治療方針等を意見交換・共有・検討・確認等するためのカンファレンスをいいます。

⑤ チーム医療について

 がんに専門特化したさまざまな資格を有したスタッフが多数在籍しております。緩和ケア、化学療法、がんリハビリ、口腔ケアなど、それぞれ多職種が関わりチーム医療を提供しております。

◎当院のチーム医療

⑥ 「いこいの場」の開催

 患者さん同士が語り合える場として、年に4回いこいの場を開催しております。当院におかかりの患者さん、ご家族さまであればご自由に参加ができます。当院におかかりでない方に関しては、がん相談支援センターにご相談ください。
開催日時は、当院ホームページインフォメーションでご案内しております。

⑦ 緩和ケア研修会修了者

 平成28年12月にがん対策基本法(平成28年法律第98号)が改正され、地域がん診療病院に該当する施設においては、自施設のがん等の診療に携わる全ての医師・歯科医師(当該施設の病院長等幹部含む)が緩和ケア研修会を受講すべきであり、これらの医師・歯科医師と協働し、緩和ケアに従事するその他の医療従事者も参加することが望ましいと変更されました。

 この目標達成の為、「がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会の開催指針」(最終改正健発0509第4号平成30年5月9日)に基づき、『緩和ケア研修会標準プログラム』に準拠した研修会を開催しております。

緩和ケア研修会の概要
・e-learning
緩和に関する知識をオンライン学習で習得する。
・集合研修
実施に活かせる知識や技術、態度を修得する為に症例検討による演習と討論(グループ演習)やロールプレイングによる演習を含むワークショップを行う。
*集合研修は、e-learning修了後2年以内に参加すること。

  • 緩和ケア研修会修了者リスト(2024.09現在)(クリックして開閉)
    科名 役職 氏名
    麻酔科 院長 藤岡 丞
    整形外科 副院長・診療部長 岡田 恒作
    脳神経外科 副院長 長田 秀夫
    外科 副院長 金 達浩
    消化器内科 院長補佐・科長 市原 広太郎
    消化器内科   増田 太志郎
    消化器内科   平塚 智也
    内科 医長 松岡 浩
    糖尿病・代謝・内分泌内科 医長 八木 一騎
    血液内科 医長 斎藤 桐子
    血液内科 医長 佐藤 美樹
    膠原病・リウマチ内科 科長 高木 賢治
    膠原病・リウマチ内科   森 浩章
    腫瘍内科   中山 博文
    緩和ケア内科 科長 馬場 祐康
    緩和ケア内科 医長 福田 重信
    外科 副科長 本多 正幸
    外科   石川 英樹
    外科   小暮 亮太
    外科   岡本 知実
    乳腺外科 医長 金 直美
    婦人科 医長 上森 照代
    脳神経外科   久保 創
    整形外科 医長 香川 亮介
    整形外科 医長 米本 直史
    整形外科   倉茂 秀星
    皮膚科 医長 江藤 洋子
    泌尿器科 科長 佐藤 克彦
    泌尿器科 診療顧問 岡田 栄子
    泌尿器科 副科長 五十嵐 智博
    泌尿器科   伊藤 亜希子
    泌尿器科   眞弓 翔三朗
    耳鼻咽頭科 科長 肥田 修
    麻酔科 科長 町田 貴正
    麻酔科 医長 高野 友美子
    麻酔科 医長 関口 剛美
    麻酔科   後藤 卓子
    麻酔科   村田 文子
    麻酔科   大川 葉月
    救急・集中治療科 科長 小出 正樹
    救急・集中治療科 医長 藤井 達也
    放射線治療科 科長 大森 義男
    神経内科 医長 福澤 恵
    歯科口腔外科 科長 姫野 敬生
    歯科口腔外科   町田 智正
    歯科口腔外科   宮島 章嘉
      専攻医 1名
      研修医 7名
  • ⑧ がん診療指定病院として

    当院では埼玉県より令和6年4月1日付で「がん診療指定病院」の指定を更新しました。
    今後、さらに質の高いがん診療を地域に提供できるように邁進してまいります。

    ⑨ がん登録

    がん登録とは

     がん登録とは、がんの罹患や転帰その他の状況を登録・把握し、分析する仕組みであり、がん患者数・罹患率、生存率、治療効果の把握など、がん対策の基礎となるデータの把握のために必要なものです。

    院内がん登録とは

     院内がん登録とは、国が定める「がん対策基本法」に基づいて行われる事業のひとつで、当該施設でがんの診断や治療を受けた全ての患者さんの腫瘍について、診断・部位・組織型・予後などの情報を収集し、集計・報告する仕組みです。
    収集された情報は、国立がん研修センターでの全国集計や埼玉県地域がん登録事業へ提供することにより、がん対策の基礎となるデータとして活用されています。

    院内がん登録では、患者さんから特に申し出がない限り、がん治療に関する個人情報を利用させていただきますので、予めご了承ください。

    個人情報の保護について

     氏名・生年月日・住所といった基本情報に加えて、がんという重大な疾患の情報を登録しています。国で定められた「個人情報保護法」に則り、当院の個人情報保護方針を定め適正に取り扱い、保護、管理しています。

    集計データについて

     集計値が4以下の場合は、個人が特定される可能性が高いことから、数値を隠すため“--”を表示しています。0件の場合は“0”と表示しています。

    部位別登録件数上位10部位

    部位別登録件数

    診断年 2020 2021 2022
    口腔・咽頭 9 14 11
    食道 15 12 17
    70 67 66
    結腸 90 105 87
    直腸 30 38 46
    大腸 120 143 133
    肝臓 36 30 25
    胆嚢・胆管 23 22 26
    膵臓 41 44 57
    喉頭 - 0 -
    111 91 100
    骨軟部 - 0 -
    皮膚 6 9 9
    乳房 51 50 53
    子宮頸部 28 26 31
    子宮体部 12 10 -
    子宮 0 0 0
    卵巣 - 6 -
    前立腺 88 102 121
    膀胱 32 50 35
    腎・他の尿路 24 33 37
    脳・中枢神経系 14 18 19
    甲状腺 - - -
    悪性リンパ腫 52 47 53
    多発性骨髄腫 13 7 9
    白血病 14 17 18
    他の造血器腫瘍 11 17 12
    その他 25 23 27

    5大がん部位別治療前ステージ(2022年)

    ※初回治療終了後に来院された場合は、ステージ不明に分類されています。