栄養士便り

54 柚子





12月21日は冬至です。
冬至とは、一年で最も夜が長い日のことを言います。無病息災を祈り、厄払いをするために柚子湯に入り、かぼちゃを食べて風邪を予防しようといった慣わしが現在でも受け継がれています。
そこで、今回は『柚子』をご紹介します。


文では、どうして冬至に柚子湯なのでしょうか?

※冬至⇒「湯治(お湯に入る)」
※柚子⇒「融通」
つまり、これはそれぞれの言葉にかけており『お湯に入り、健康になって融通が利きますように』という願いが込められています。
冬至の柚子湯には柚子の浴剤としての効能を活用するもので、血液の循環を良くし、新陳代謝を促してくれます。
本格的な冬を迎える前に、柚子湯で温まり寒さをのりきろうと言う先人の知恵なのです。

また、5月5日端午の節句では菖蒲湯に入る慣わしがありますが、これも同様に菖蒲を「勝負」や「尚武」といった言葉にかけており、邪気を払うという思いが込められています。


柚子の栄養

8月~9月は青柚子が出荷され、11月頃から黄柚子に代わり、2月頃まで出回ります。 柚子は独特の香りが特徴的な果物ですが、その果皮や果実には様々な栄養素が含まれています。特に、酸味の強い柚子にはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸の有機酸類が多く含まれており、柑橘類の中でもトップのビタミンC含有量を持っています。他にも香り成分である精油やビタミンB群、鉄分、カリウム、フラノボイド・ビタミンPなどを含んでいます。


ビタミンCについて

ビタミンCの働きは、コラーゲンの合成に重要な役割をしており、肌にハリをもたせ、コラーゲンと働くことで免疫力を高め、風邪のひきにくい身体にしてくれます。また、鉄の吸収率を高める作用を持っているので、貧血気味の方などには鉄分の多い食品(レバーや煮干、はまぐり、しじみなど)とビタミンCを豊富に含む食品(野菜や果物など)を組み合わせて摂ることをおすすめします。
また喫煙や寒冷ストレスにより、ビタミンCの消費量は高まると言われています。そのため、特に喫煙をされる方はビタミンCを多く含む食品である野菜や果物などを積極的に補給することが大切です。


柚子コショウ

最近、よく見かけるようになった柚子コショウですが、皆さんは柚子コショウにはコショウが使用されていると思っていませんか?
そこで柚子コショウについてご紹介します。
柚子コショウとは九州の代表的な調味料です。柚子の皮と唐辛子をすり下ろし、塩を加えて混ぜ合わせたものです。九州では青唐辛子のことを「コショウ」と呼んでいたので、コショウは入っていないのに柚子コショウという名前なのです。緑の柚子に青唐辛子を加えた緑色のタイプと、熟した黄色い柚子に赤唐辛子を加えたオレンジ色のタイプがあります。
名称に「コショウ」がついていますが、これは「コショウ」ではなく「トウガラシ」のことを指します。九州の一部では、このように「トウガラシ」のことを「コショウ」と呼ぶ地域が少なからずあり、その場合には、「コショウ」は「洋胡椒」と呼んで区別しています。
唐辛子は青唐辛子を用いるのが一般的ですが、赤唐辛子が用いられる場合もあります。青唐辛子を使った柚子胡椒は緑色、赤唐辛子を使った柚子胡椒は橙色をしています。

柚子の香りとさわやかな酸味が食欲をそそります。
皮を薄くむいて、吸い物や和え物などに添えて料理の仕上げに香りづけとして使用したり、果汁をぽん酢やたれ、ドレッシングの材料にしたりすると最適です。また、マーマレードや砂糖漬け、果実酒などにも美味しくいただけます。
柚子を使ったオリジナル料理に挑戦してみてはいかがでしょうか?