栄養士便り

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鮮やかな紅葉の季節となりましたね。また、朝夕の肌寒い日が続きますが、体調管理はしっかりできていますか?

寒さを感じるこの季節には、ホクホクとした食べ物であるさつま芋やじゃが芋、里芋、栗などが美味しくなる時期でもあります。
そこで、今回は秋の美味しさがたっぷり詰まった『栗』についてご紹介します。

栗は古くから親しまれてきた種実です。栗は、秋の味覚の代表といっても過言ではないでしょう。また、栗の生産地は全国一が茨城県となっています。


栗の種類

栗には、様々な種類があり、大きく分けて4種類あります。

日本栗
渋皮のタンニンが強いため渋皮が離れにくく、果肉が割れやすく、風味が良いのが特徴です。主に栗甘露煮・ゆで栗などに利用されています。
中国栗
小型で渋皮がむきやすく、果肉は締まって甘味が強くなっているのが特徴です。焼き栗に適しており、街角などでよく売られている天津甘栗などに使用されている栗は、中国栗が大半を占めています。
ヨーロッパ栗
日本栗と比べるとすこし小さめですが、渋皮がむきやすく、程よい甘さをしているため砂糖を加えたお菓子に使うのに最適です。主に焼き栗・マロングラッセ、缶詰などに利用されています。
アメリカ栗
小粒で甘味があって味がよい。ただし、食用としてはあまり使用されていません。



栗の栄養と効果

栗は種子ですのでナッツ類に分類されますが、他のナッツ類は脂質が多いのに比べて栗は、でんぷんが多く、脂質が少ないのが特徴です。でんぷんの豊富な作物というと芋類、穀物などですが、栗のでんぷんは樹上でとれる浄化された貴重なでんぷんなのです。豆類や芋類と比較すると、でんぷんの粒子がとても細かいため、上品な味わいを生んでいます。また、ナッツ類の特徴としてミネラルが豊富に含まれています。ミネラル類の中でも、特に現代人に不足しがちな微量要素の一つである亜鉛が多く含まれています。亜鉛が不足すると味覚障害・肌荒れ・抜け毛等の症状が出る可能性があるとされています。
そして、さつま芋と比べると、食物繊維は約2倍ととても多く含まれています。また、内皮の渋皮にはポリフェノールの一種であるタンニンが多く含まれています。タンニンは渋味のもとで、緑茶やコーヒーにも含まれ、美味しさを引き立てている成分です。


疲労回復や風邪予防の味方

ウイルスの侵入を防ぐ役目がある鼻の粘膜を作るもとになるビタミンA・C・Eなどと共に、細菌やウイルスと戦うための免疫物質のもとになるたんぱく質や、鉄・亜鉛・銅などのミネラル分をしっかりと摂ることが大切です。
その中でも、栗にはビタミンB1、ビタミンCが多く含まれています。栗に含まれているビタミンCは熱に強いので、加熱しても損失が少ないのが特徴です。他にも、成長促進、美容に効果があるビタミンDや、カルシウム、カリウム、鉄分などが含まれています。ですから、疲労回復や風邪の予防には効果的な食材といえます。


調理ポイント

・栗には亜鉛が含まれているので、亜鉛を含んでいない白米と一緒に食べる「栗ごはん」にすると、栄養バランスがよくなる。
・栗の鬼皮はかたいので、ゆでてもビタミンCの損失が少ない。
・タンニンを豊富に含む渋皮を残して調理することで身体に溜まった老廃物を排出する作用が高まる。
・かためにゆでて冷凍保存をすることで、長期保存が可能。
このように、栄養的にも旬の秋にたっぷり味わいたい味覚ですね。
是非、旬の食材を利用して、食卓を彩ってみてはいかがでしょうか?