診療科
泌尿器癌外来
当院ではがん治療に特に力を入れています。手術を中心に化学療法や放射線療法も積極的に施行しています。また、手術に関しては最新の機器を用いて可能な限り体に優しい低侵襲な治療を行っています。
腎癌
腎癌の三大症状は①痛み、②腫瘤を触れる、③血尿といわれていました。しかし、近年は全く症状がなく健康診断などでみつかる方がほとんどです。
治療は腎臓を全摘出するよりも、腫瘍部分のみを部分摘出する方が生存率が高いことが明らかになっています。一般的には腫瘍最大径が4cm未満のTNM分類でT1aという早期の段階の症例が腎部分切除術の適応となっていますが、当科においてはT1bもしくはT2という進行した症例であっても、可能なかぎり部分切除を行い腎の温存を図っています。 今まで腹腔鏡では部分切除が難しく全摘しなければならなかった腎門部の腎癌や径の大きな腎癌もダビンチを用いることで腎臓を温存することが可能になりました。残念ながら進行しており全摘しなければならない場合も、2022年4月よりロボット支援腎全摘除術が保険適用となり当院でも施行しています。
手術支援ロボット「ダビンチ」について詳しく知りたい
また、腎癌は他の臓器に転移している場合でも、可能であれば原発巣、転移巣ともに摘出したほうが予後は良いと言われています。当院では各科協力のもとに転移巣も積極的に外科的切除を行っています。外科的切除の適応がない場合でも免疫チェックポイント阻害薬や分子標的薬、インターフェロンを含めた集学的治療を取り入れています。
<ロボット支援腎部分切除術>
前立腺癌
50歳以降になると前立腺に癌が発生するようになります。前立腺癌はアメリカでは男性に発生する癌の第一位となっています。日本でも前立腺癌の患者数は急速に増えつつあり、1950年に比べると20倍以上になっているといわれています。これは日本が急速に高齢化していることと、食事の欧米化により動物性脂肪の摂取量が多くなったためではないかと考えられています。
前立腺癌の症状は初期の段階ではほとんどありません。これは前立腺癌が前立腺の外側に発生することが多いからです。癌が大きくなると前立腺肥大症のような症状が出るようになります。また、前立腺癌は骨に転移することが多く、骨の痛みや腰痛などで発見されることがあります。
前立腺癌の診断で現在最も重要なのがPSA(前立腺特異抗原)の測定です。これは少量の血液を採取して測定しますが通常の血液検査と同時に行えます。前立腺癌の早期発見のためには50歳以降は定期的にPSAを測定することが推奨されています。PSAは4.0未満が正常とされていますが、最近ではPSAが2.0~4.0の方でも10%前後、4.0以上では約30%に前立腺癌が発見されると報告されています。ですからPSA 2.0以上であったならば一度泌尿器科を受診することをおすすめします。PSAは人間ドックなどで調べられるほか、前立腺癌検診として公費で測定できる自治体も増えています。
前立腺癌が疑われた場合、診断を確定するためには前立腺針生検が必要です。これは直腸から細い針を前立腺に何ヶ所か刺して組織を採取し、病理学的に診断するものです。30分位で終了しますが当院では麻酔をかけて行いますのでほとんど痛みは感じません。
前立腺癌の治療は前立腺を摘出する手術、放射線による治療、薬による治療(主に男性ホルモンを弱めるもの)などが行われますが、個人個人に適した治療が異なることから、十分に相談した上で治療法が決定されることになります。
当院ではT1c (PSAの上昇で発見された癌), T2 (前立腺に限局する癌), 一部のT3 (前立腺被膜を超えて進展する癌) という段階の症例についてはすべて最新鋭第4世代手術支援ロボット「ダビンチXi」を用いたロボット支援手術(ダビンチ手術)を施行しています。前立腺癌に対するロボット支援手術は通常、頭低位(手術ベッドを傾けて頭を低くした体位)で施行するため、脳動脈瘤や閉塞隅角緑内障と診断されている方は行うことが出来ません。しかし、当院では頭低位をとらずに行う「後腹膜法」でもロボット支援手術を施行することができます。他院でロボット支援手術を断られた方でも施行できる可能性がありますのでご相談下さい。
ダビンチ手術を希望される皆様へ
病診連携室までお問い合わせください。詳細をこちらからご確認お願いします。
ダビンチ手術は単に癌のコントロールだけではなく,術後の尿失禁をはじめとした「生活の質」を第一に考えた、膀胱頚部,海綿体,尿道括約筋周囲のダメージを最低限にする体に優しい手術です。今まで施行していたミニマム創手術よりも小さな傷でより少ない出血量で手術を施行することが可能です。また、最大14倍に拡大された3D視野でヒトの手指よりも自由度が高い鉗子を用いで手術を施行するため、より繊細で精密な操作を行うことができます。
手術支援ロボット「ダビンチ」について詳しく知りたい
また、前立腺癌に関しては放射線治療も非常に有効です。ご希望の方には放射線科と協力して放射線治療も数多く手がけています。
進行していて手術や放射線治療が適応とならない場合でも、ホルモン療法や化学療法を積極的に施行しています。
膀胱癌
無症候性肉眼的血尿(痛みなどの症状が全くない血尿)が典型的な症状です。ある程度大きな腫瘍は超音波やCT検査で診断できますが、小さな腫瘍の診断には膀胱鏡(尿道から膀胱内に挿入する内視鏡)が必要となります。
表在癌という悪性度の低いタイプであっても非常に再発が多いため、経尿道的な切除術(TURBT)後にいかに再発を少なくするかが重要なポイントとなってきます。当科ではTURBT直後に抗癌剤を注入するほか、再発予防効果の高い結核菌を膀胱の中に注入するBCG膀胱内注入療法を積極的に行い癌の再発を予防しています。また、リスクの高い症例には一定期間後に再度手術を行うセカンドTURBTを積極的に取り入れ、残存腫瘍の有無や診断のエラーを再確認しています。一方,筋層浸潤癌という進行癌に対しては根治的膀胱摘除術+骨盤リンパ節郭清術(+尿路変向)が標準治療となっています。泌尿器科領域の手術では最も侵襲の高い手術ですが、当科では腹腔鏡で施行しています。開腹手術よりも非常に出血が少なく、より精密な手術が可能です。今後はダビンチを用いたロボット支援手術に切り替える予定です。膀胱壁外に浸潤する場合は術前化学療法を導入することで治療成績が向上することがわかっているため、可能な症例では術前化学療法を施行後に手術を行っています。また、膀胱癌の再発チェックのために、定期的に膀胱鏡で確認することが必要ですが、当院では痛みの少ない軟性膀胱鏡をもちいて定期検査を行っており、患者さんの精神的・肉体的な負担を減らすよう努力しています。
腎盂癌・尿管癌
腎臓で作られた尿は、腎盂という場所に集められたあと尿管を通って膀胱に溜まります。
腎盂、尿管、膀胱の粘膜はみな同じ尿路上皮と呼ばれる粘膜で、癌の発生した場所によりそれぞれ腎盂癌、尿管癌、膀胱癌と呼ばれます。尿路上皮に発生する癌の中では膀胱癌が最も多く、腎盂癌・尿管癌は全尿路上皮腫瘍の約5%といわれています。50〜70歳代に多く、男性の発生頻度が女性の2倍以上とされています。
症状について
早期では無症状です。進行するにつれて尿検査で潜血反応を示したり、膀胱癌のように無症候性肉眼的血尿を認めることもあります。腫瘍により尿管が閉塞してくると、水腎症(腎盂に尿がたまって拡張した状態)をきたし超音波検査やCT検査などで発見されることもあります。水腎症により背中や腰に痛みが生じることもあります。
治療について
治療は腎臓から尿管、膀胱と尿管のつなぎ目の部分をすべて摘出する腎尿管全摘除術が第一選択です。当院ではダビンチを用いたロボット支援腎尿管全摘除術を施行しています。術中の出血も少なく傷も小さいため、術後の回復が早く早期の社会復帰が可能です。
発見時にすでにほかの臓器に転移している場合は抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬を用いた薬物療法を行います。
手術支援ロボット「ダビンチ」について詳しく知りたい
その他の癌
精巣癌など、他の尿路・性器領域の癌もすべて当科で治療可能です。ダビンチを用いたロボット支援手術の適応ではない手術もほとんどの手術を腹腔鏡で施行することができます。
腹腔鏡手術
お腹に5~15㎜ほどの穴を2~5か所あけて炭酸ガスを注入して膨らませ、穴からカメラと専用の手術器具を挿入して手術を行います。傷が小さく出血も少ないため、従来の開腹手術と比べて、術後の痛みが少なく回復が早いことが特徴です。ほぼすべての術式で手術翌日より歩行と食事を開始しています。当院では日本泌尿器内視鏡学会・日本内視鏡外科学会認定医によるクオリティの高い腹腔鏡手術を施行しています。
ダビンチを用いたロボット支援手術の適応ではない手術は可能な限り腹腔鏡で施行し、体への負担や術後の傷の痛みを軽減させるよう配慮しています。
当院では内視鏡手術専用の手術室を設けており、オリンパス社製の最新型4K内視鏡システムを導入しています。繊細な4K画像により、より精度の高い手術をより短時間で施行することが可能です。
当院で施行できる腹腔鏡手術
- 副腎腫瘍:原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫、副腎癌など
- 腎腫瘍:腎細胞癌、腎血管筋脂肪腫など
- 腎盂癌
- 尿管癌
- 膀胱癌
- 後腹膜腫瘍
- 腎盂尿管移行部狭窄症
- 腹膜透析用カテーテル留置
- 骨盤臓器脱(子宮脱、膀胱瘤、直腸瘤、子宮摘除後の腟断端脱)
- 精索静脈瘤
- 尿膜管遺残症 など
…その他、ご相談ください。
担当医
-
科長 佐藤 克彦(さとう かつひこ)
【資格】
医学博士
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器科腹腔鏡)
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会腹腔鏡技術認定医
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(膀胱・前立腺、副腎・腎(尿管)、仙骨腟固定術)
身体障害者福祉法第15条指定医師(ぼうこう又は直腸機能障害)
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
難病指定医
da Vinci Console Surgeon(da Vinci Certificate 取得者)
-
診療顧問 岡田 栄子(おかだ えいこ)
【資格】
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医
透析バスキュラーアクセスインターベンション治療医学会VAIVT認定専門医
透析バスキュラーアクセスインターベンション治療医学会VAIVT血管内治療医
日本医師会認定産業医
身体障害者福祉法第15条指定医師(じん臓機能障害)
日本透析医学会会員
日本排尿機能学会会員
日本臨床皮膚外科学会会員
日本透析アクセス医学会会員
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
難病指定医
日本救急医学会 ICLS コース修了
da Vinci First Assistant
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副科長 五十嵐 智博(いからし ともひろ)
【資格】
医学博士
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医(泌尿器科腹腔鏡)
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会腹腔鏡技術認定医
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(膀胱・前立腺、仙骨腟固定術)
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
身体障害者福祉法第15条指定医師(ぼうこう又は直腸機能障害)
日本レーザー医学会 安全教育試験合格
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
難病指定医
da Vinci Console Surgeon(da Vinci Certificate 取得者)
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伊藤 亜希子(いとう あきこ)
【資格】
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医・指導医
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(仙骨腟固定術)
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
難病指定医
身体障害者福祉法第15条指定医師(ぼうこう又は直腸機能障害)
da Vinci Console Surgeon(da Vinci Certificate 取得者)
-
眞弓 翔三朗(まゆみ しょうざぶろう)
【資格】
日本泌尿器科学会泌尿器科専門医
日本泌尿器科学会/日本泌尿器内視鏡・ロボティクス学会泌尿器ロボット支援手術プロクター(膀胱・前立腺)
難病指定医
厚生労働省 がん等の診療に携わる医師等に対する緩和ケア研修会修了
da Vinci Console Surgeon(da Vinci Certificate 取得者)
-
三津井 理公(みつい りく)
外来担当医
泌尿器科の午前の受付は11:30までとなります。
ご了承くださいますようお願い申し上げます。
時間/曜日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
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午前受付 8:00 〜 11:30 (診察)9:00 ~ |
【新患対応】 飯泉 達夫 |
【新患対応】 三津井 理公 【再診予約制】 佐藤 克彦 五十嵐 智博 岡田 栄子 眞弓 翔三朗 |
【新患対応】 倉内 崇至 【再診予約制】 飯泉 達夫 |
【新患対応】 芦苅 大作 【再診予約制】 伊藤 亜希子 佐藤 克彦 飯泉 達夫 |
【新患対応】 三津井 理公 【再診予約制】 五十嵐 智博 岡田 栄子 |
【新患対応】 眞弓 翔三朗第1・3・5週 伊藤 亜希子第2・4週 【再診予約制】 眞弓 翔三朗第2・4週 伊藤 亜希子第1・3・5週 五十嵐 智博第1・3・5週 佐藤 克彦第2・4週 |
午後受付 12:35 〜 17:00 (診察)14:00 ~ |
【再診予約制】 検査・処置のみ |
【再診予約制】 検査・処置のみ |
【再診予約制】 検査・処置のみ |
【再診予約制】 検査・処置のみ |
【再診予約制】 検査・処置のみ |