専門外来

肝臓外来

はじめに

肝がんにより毎年約3万人以上もの方が亡くなっており、我が国では肺がん、胃がん、大腸がんに次ぐがん死因の第4位を占めています。そして、その原因の大半が慢性ウイルス性肝炎(C型肝炎とB型肝炎)によるものです。肝がん治療は外科切除、ラジオ波焼灼術、肝動脈化学塞栓療法、全身化学療法(抗がん剤)、放射線療法などによる集学的治療により劇的に進歩していますが、原因となるC型肝炎やB型肝炎の新たな治療薬(インターフェロン、抗ウイルス薬)の開発により、肝硬変の進展や肝がんの抑制も可能となりつつあります。
当院では、平成24年より日本肝臓学会肝臓専門医と肝胆膵外科学会高度技能専門医による医療チームを立ち上げ、肝臓外来を開設し積極的な肝疾患治療を行なっています。毎週検討会を行いながら、患者さまごとの状態にあわせた最適な治療を提供できるよう努力しています。

肝臓疾患について

1. 慢性ウイルス性肝炎と肝硬変

慢性ウイルス性肝炎は、肝臓の細胞がウイルスによる持続的な炎症によって破壊されてしまう病気です。我が国の慢性肝炎の原因としては、約 75%がC型肝炎ウイルス、約15%がB型肝炎型肝炎ウイルスです。B型肝炎ウイルス保有者(キャリア)は約130~150万人いるとされており、放置しているとそのうち約1割は病気が進行して肝硬変や肝がんになってしまいます。C型肝炎ウイルスは国内に約150~200万人もの保有者(キャリア)がいるといわれ、長期間かけてゆっくりと進行し、やがて多くの方が肝硬変や肝がんになっていきます。慢性肝炎は初期の段階では無症状で、進行してから初めて身体のだるさ、食欲がない、吐き気、黄疸などの症状がでてきます。また肝硬変がさらに進行すると、足のむくみや腹水、大量吐下血の原因となる食道静脈瘤、意識障害を起こす肝性脳症などの合併症もみられるようになってしまいます。
しかし、現在ではB型肝炎やC型肝炎に対するインターフェロン治療や内服薬の抗ウイルス薬などが開発され、早期に感染していることが分かれば、肝硬変や肝がんへの進展抑制が期待できるようになっています。近年はインターフェロンという注射の治療を受けなくても、内服薬のみで慢性肝炎が治癒できるようになってきました。詳細はぜひ一度、肝臓外来担当医にご相談ください。

肝炎ウイルス検診はもう受けましたか?
感染してもほとんどの場合、自覚症状がありませんが、簡単な血液検査をすれば感染の有無を知ることができます。また、感染した原因は約半数が不明であるため、輸血や大きな手術を受けたことがない方も検査を受けることが重要です。特に40歳以上の方でこれまで一度もウイルス肝炎の検査を受けたことがない場合には、是非一度検査を受けてください。

2. 脂肪肝と非アルコール性脂肪性肝炎NASH

左:正常な肝臓の超音波、右:脂肪肝(肝臓が脂肪で白くなっている)

人間ドック学会の2009年の報告では、肝機能異常は高コレステロール(脂質異常症)、肥満に次いで3番目に多く、全体の約4人に1人が指摘されています。これらの方々の大半は、生活習慣病であるメタボリック症候群や肥満、アルコールに関連した脂肪肝が原因です。さらに、この脂肪肝の約半数は非アルコール性脂肪性肝疾患 「NAFLD」と呼ばれる脂肪肝を伴う飲酒歴のない肝障害です。1980年代は受診者の1~2%に過ぎなかったNAFLDが急増した理由として、肥満の増加が挙げられています。皆さんはメタボ検診等で肥満を指摘されてはいませんか。これらの状態を放置しておくと、脳卒中や心筋梗塞などの生活習慣病を発症する危険性が高くなってしまいます。また、NAFLDの約1割に徐々に線維化が進行して肝硬変となったり、その後肝がんを併発したりする非アルコール性脂肪性肝炎「NASH」という病気もあることが報告されています。毎年指摘されていることに慣れてしまい、受診しない方も多くいらっしゃいます。今からでも遅くありません。ぜひ一度肝臓外来でご相談ください。

3. 肝がん

肝細胞癌のCT画像、肝細胞癌の造影超音波

日本における肝がん(原発性肝がん)による死亡者数はこの30年で約3倍に増加しています。肝がん(肝細胞癌)の約90%はウイルス性肝炎が原因です。そのため、慢性ウイルス性肝炎の方は、定期的な診療を受けることが大切です。採血検査によるAST(GOT)、AST(GPT)や腫瘍マーカー検査(AFP、PIVKAII)だけでなく、超音波検査・CT・MRIによる肝がんのスクリーニングも定期的に受けましょう。

肝臓疾患の治療

● 慢性ウイルス性肝炎

慢性C型肝炎

これまでは、インターフェロン治療がC型肝炎ウイルスを排除できる唯一の治療法でした。もちろん現在でもペグインターフェロンと2種類の内服薬で治療する3剤併用療法が行われており、以前に比べると治療期間の短縮とともに劇的な治療効果の向上も得られております。しかしいよいよ近年、インターフェロンによる注射の治療を行わなくても、内服薬のみで比較的副作用が少なく治癒できる薬が開発され、素晴らしい治療の効果が出ております。当院では、慢性C型肝炎の方への積極的な治療を行なっております。治療費に関する国や地方自治体からの助成金に関してもケースワーカーと連携をとり、スムーズな申請ができるようにお手伝いしております。具体的な治療法や助成金の受給方法などは患者さま個々で異なる場合もありますので、是非一度肝臓外来担当医にご相談ください。

慢性B型肝炎

近年、B型肝炎ウイルスの抗ウイルス薬(エンテカビル、テノホビルなど)により、体内のウイルスを減少させ肝炎を沈静化させることができるようになりました。これにより慢性肝炎から肝硬変への進行を遅らせ、肝がんの発症を抑制させる効果が報告されています。また、2011年には新たにペグインターフェロン治療も保険適応となり、さらに効果が期待されています。
慢性B型肝炎は、早期からの積極的な治療がとても重要です。自覚症状がなく、普段の生活にも支障を感じないため、保有者であることに気が付かない方や、わかっていても受診がおろそかになってしまっている方も多くいらっしゃいます。長期的な継続治療はとても重要です。是非一度肝臓専門医への受診をお勧めします。
また、B型肝炎にはワクチンもあります。ご家族にB型肝炎キャリアの方がいらっしゃれば、ワクチンにて予防することが大切です。

● 肝がん(肝細胞癌)

外科治療

肝がんの根治的治療としては外科的切除が第一に重要です。当院では、肝胆膵外科高度技能専門医による肝がんの外科的切除術を積極的に行なっています。

ラジオ波焼灼術 RFA

肝がんは、慢性肝炎や肝硬変を背景とすることが多く、外科的切除が困難となることもあります。ラジオ波焼灼術は、超音波診断装置(エコー)で見ながら皮膚の上から肝臓内のがんに向かって針を刺し、先端をラジオ波により誘電加熱して、がんを壊死に至らせる治療法です。1回の焼灼で約3cmの 範囲のがんを死滅させることができます。そのため非がん部への影響が小さく、肝硬変などの肝機能障害が強い場合においても治療が可能です。

ラジオ波焼灼術前の肝細胞癌、ラジオ波焼灼術後(焼灼されている)、ラジオ波焼灼術前の肝細胞癌、ラジオ波焼灼術後(焼灼されている)

肝動脈化学塞栓療法 TACE

肝細胞癌の血管造影(矢印;腫瘍濃染像)

肝がんは、進行すると肝動脈の血流が豊富になり、肝動脈からの栄養で大きくなります。そこで、足の付け根(鼠径部)の動脈から肝動脈へ細いカテーテルを挿入し、肝がんの血管内に抗がん剤を注入したり塞栓物質を注入して血流を遮断することで治療を行います。これを肝動脈化学塞栓療法といいます。外科切除やラジオ波焼灼術などの局所治療が困難な時には、この肝動脈化学塞栓療法が適応となります。また、肝動脈化学塞栓療法施行後にラジオ波焼灼術を行うなど、患者さまの状態にあわせた集学的な治療を、当院の内科・外科・放射線科の医師によるチームで検討します。

肝がんの集学的治療(左から治療前、TACE後、追加RFA後)

担当医

総合内科 部長 神田 大輔(かんだだいすけ)

総合内科 部長  神田 大輔(かんだだいすけ)

【資格】

医学博士
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医・指導医
日本肝臓学会専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医・暫定教育医
日本化学療法学会抗菌化学療法認定医
日本医師会認定産業医
ICD (Infection Control Doctor)
TNT (Total Nutrition Therapy) 修了
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
難病指定医
米国内科学会フェロー(FACP)
臨床研修プログラム責任者養成講習会修了

外科 部長 金 達浩(きんたつひろ)

外科 部長  金 達浩(きんたつひろ)

【プロフィール】

高度な技術を必要とする膵癌・胆道癌・肝癌の手術を数多く行い、第1期の肝胆膵外科高度技能専門医に認定されています。誠意をもって診療にあたらせていただきます。


【資格】

医学博士
日本外科学会指導医・専門医・認定医
日本がん治療医認定機構がん治療認定医
日本消化器外科学会専門医
日本消化器外科学会消化器がん治療認定医
日本肝胆膵外科学会評議員
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
緩和ケア研修修了
難病指定医
東京女子医科大学講師(非常勤)

内科 医長 市原 広太郎(いちはら こうたろう)

内科 医長  市原 広太郎(いちはら こうたろう)

【資格】

日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本肝臓学会肝臓専門医
日本消化管学会胃腸科専門医・指導医
日本内科学会総合内科専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定プライマリ・ケア認定医・指導医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
日本化学療法学会抗菌化学療法認定医・指導医
ICD (Infection Control Doctor)
日本旅行医学会認定旅行認定医
公益財団法人日本体育協会公認スポーツドクター
日本医師ジョガーズ連盟認定ランニングドクター
緩和ケア研修修了
TNT (Total Nutrition Therapy) 修了
厚生労働省 医師の臨床研修に係る指導医講習会修了
難病指定医

外来担当医

時間/曜日
午前受付
8:00-12:30
(診察) 9:00~
市原 広太郎 
神田 大輔 
金 達浩 
市原 広太郎 
午後受付
12:35-17:00
(診察) 14:00~
市原 広太郎 
神田 大輔 
金 達浩