栄養士便り

99 食物繊維





まだまだ暑い日が続いていますが、少しずつ過ごしやすい時間が長くなり秋に近づいてきていますね。朝夕と日中で気温差が大きいので体調を崩さないよう体調管理には十分気をつけてください。

今回は便秘予防に良いと多くの人に知られている「食物繊維」についてお話します。


食物繊維とは?

食物繊維は、人の消化酵素で消化できない食物に含まれている成分の総称です。以前までは、「食べ物のカス」とも言われ低評価でしたが、現在では、たんぱく質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラルの5大栄養素に続く、「第6の栄養素」として重要視されています。



文食物繊維の種類

食物繊維には、水溶性食物繊維と、不溶性食物繊維の二種類があり、それぞれで効果が異なります。

水溶性食物繊維
水溶性食物繊維は水分保持能力が強く、ドロドロと粘りのある状態になるため、胃から小腸への食べ物の移動が緩やかになります。そのため消化に時間がかかり糖の吸収速度が遅くなるので、食後の急激な血糖値上昇防ぎます。また、有害物質やコレステロールを吸着して排出を促す働きもあります。これらの働きによって糖尿病や動脈硬化症、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病予防ができると期待されています。

不溶性食物繊維
不溶性食物繊維の働きは、繊維自体が水に溶けない分、水を多く吸収して数倍に膨れるため便の量が増加します。それとともに、腸を刺激して蠕動運動を促すので、排便が促され、便秘解消につながります。また、通常より便が早く排泄されるため、腸の中で発癌物質などの有害物質にさらされる時間が短くなり、腸の病気の予防などの効果があります。




食物繊維の上手な摂り方

食物繊維は種類によって働きが異なるので、不溶性と水溶性どちらもバランスよく、多種類の食品を組み合わせて摂ることがコツです。野菜に食物繊維が多いとはいえ、生野菜ばかりではかさが多く、量がなかなか摂れません。調理(煮る、焼く、蒸すなど)をすると重さが10〜30%程度減少し、たくさん食べることができるので、調理方法も工夫して摂るようにしましょう。また、食物からではなく、サプリメントなどで大量に摂取してしまうとお腹を壊してしまう可能性が高まります。さらに、食物繊維にはミネラルの吸収を阻害する作用もあるので、摂りすぎには十分注意し、適度に食物繊維を摂るように心がけましょう