栄養士便り

85 熱中症





近頃、熱中症によるニュースが飛びかう季節となってまいりましたが、なにか対策は考えていますか?
熱中症の患者数は10年前に比べ増加傾向となっています。気温の変化だけでなく、環境の変化も大きな影響を与えているのではないでしょうか?



熱中症とは?

体の中と外の温度変化により、身体が様々な不調を訴える状態を言います。
体温が上昇することで、体の水分や塩分割合が減少し、脳への血流が不足してしまい機能が低下してしまうのです。
熱中症は、早い発見と手当が重要です。対応が遅くなってしまうと、めまいや頭痛だけでなく、吐き気や痙攣、さらには意識障害に至ってしまうことがあります。

また、熱中症は細かく3つに分けることができます。

熱痙攣:大量に汗をかいた後、水だけを飲むと体の中の塩分やミネラルが薄まり、不足した状態となってしまう時に発生しやすい。
熱疲労:大量に汗をかき、水分・塩分ともに必要な量がなかなか確保できず、脱水状態となったときに起こりやすい。
熱射病:脳の視床下部における温熱中枢機能が傷害されてしまうと、体温調節がうまく出来ず、体温が上昇しても発汗することなく、熱を体外へ放出することができなくなってしまう。
熱中症は性、年齢などに関わらず起こる可能性があります。
特に子供や高齢者においては、体温調節機能の関係でより起こりやすくなっています。


文子供の熱中症対策

そこで今回は「子供の熱中症対策」についてお話します。
単に子供と言っても、新生児~思春期まで幅広く、子供がかかる熱中症の中でも、直射日光にさらされることのない屋内にいながら、きわめて高温多湿であるために発症した場合を、特に熱射病と呼びます。近年では、車の中で起こる熱射病が問題となっております。
子供は、体温調節機能が未発達または未熟なため、大人と比べより熱中症にかかりやすいといえます。

・新生児
新生児は体温の調節が未熟。日頃より大人が様子をみて、衣服の着脱による体温調節を行い、特に暑い時期は気温の変化に注意が必要です。クーラーや扇風機の使用、こまめな水分補給が大切です。

・乳児
外出は午前中や夕方など涼しい時間帯を選び、必ず帽子を被り直射日光を避けましょう。
ベビーカーは地面からの熱を受けやすいので、大人の顔の位置の温度より、約3~4度高くなります。
また、レインカバーなどは熱がベビーカー内にこもり、通気性が悪く保温力も高いので、カバーを開けて換気をすることが大切です。水分補給は時間を決めてこまめにおこなうとよいでしょう。

・幼児
幼児期は自分の体調変化をうまく言葉として表現することができず、伝達できないことがあります。また、楽しいことがあると夢中になり、休憩を取らないことがあります。脱水症状が起こる前に、水分補給を促し、外出に合わせて水筒を持ち歩くこともお勧めです。



脱水症状の兆候はありませんか?

唇は乾いていませんか?
おしっこはしていますか?
目の周囲がくぼんでいませんか?
便秘になっていませんか?
手足が冷たく、皮膚が乾燥していませんか?
顔色が悪くありませんか?


自宅でできる熱中症予防対策

・陽射しが射し込む場所で昼寝をさせないこと
乳幼児にとって昼寝は日課。時間の経過とともに強烈な陽射しが届きやすい窓辺や縁側は高温環境になりやすく危険です。
また、夏の昼間は、赤ちゃんをベビーカーに乗せたり子供の手を引いたりして外出することもたいへん危険です。外出は日が落ちてからが良いでしょう。



・水分補給
大量に汗をかいた場合には、通常の水分補給飲料である水やお茶よりも、塩分0.1~0.2%程度含有された乳幼児用のイオン飲料で水分補給を。イオン飲料が無い場合には、水に少量の塩と砂糖を加えた飲料を与えると良いでしょう。
特に熱中症を起こした際に、塩分や糖分を含まない飲料を急に摂取すると痙攣などを起こす可能性があります。

万一、子供が熱射病にかかった場合、すぐにエアコンや扇風機の風に当てたり、濡れタオルや水を吹きかけたり体を冷やすことが大切です。